核医学(RI) 脳血流シンチグラフィ
脳血流シンチグラフィは2つに大別される
1)拡散性トレーサ(血液脳関門(BBB)を自由に通過できる)
133Xe、81mKr
2)捕獲型トレーサ(BBBを通過したあとに脳組織に留まる)
123I-IMP、99mTc-HMPAO、99mTc-ECD
a)123I-IMP 投与量111〜222MBq 静注
撮像:投与後15〜30分
中性の脂溶性物質である。投与後ほとんどが肺に取り込まれ、その後徐々に動脈
血中へ、BBBを通過し、正常脳組織に集積する。
脳への集積は投与後15〜30分でピークに達し、その後徐々に洗い出しがある。
b)99mTc-HMPAO 投与量370〜740MBq 静注
撮像:投与後5分
中性の脂肪性の化合物。投与後、血流によって脳へ運ばれ、BBBを通過し、正常脳
組織に集積する。脳からの逆拡散が2〜3分以内に起こる。
脳への集積は投与後約1分でピークになり、約2〜3分後までやや減少したあと
長時間安定する。
c)99mTc-ECD 投与量370〜740MBq 静注
撮像:投与後5分
中性で脂肪性の化合物。投与後、血流によって脳へ運ばれ、BBBを通過し、正常脳
組織に集積する。
脳への集積は投与後約2分でピークになり、長時間安定する。
<前処置>
投与は安静仰臥位、閉眼(遮光)にて行う。
123I-IMPは甲状腺ブロック
<正常像>
脳内分布は局所脳血流に比例している。
大脳皮質の脳灰白質が白質に比べて強く描出される。
大脳基底核や視床の深部灰白質や小脳も血流が多いため強く描出される。
IMP、HMPAO、ECDの脳内分布の違い
海馬領域の描出が弱い
HMPAO→他2剤に比べて基底核の描出がやや強い
IMP→小脳の描出がやや弱い
<負荷試験>
脳循環予備脳を評価する試験。
アセタゾラミド(ダイアモックス)は血管拡張機能を有し、健常部の血管のみに作用
健常部と虚血部がより明瞭にコントラストがつく。
利尿作用あり。
<臨床>
脳梗塞→陰性像
脳出血→陰性像
一過性脳虚血発作
その他の脳血管障害
脳腫瘍
<脳血流定量法>
a)拡散性トレーサの場合
initial slope法
two compartmental analysis法
height over area法
b)捕獲型トレーサの場合
123I-IMP
マイクロスフェア法→持続動脈採血が必要
オートラジオグラフィ(ARG)法
テーブルルックアップ法
99mTc-ECD,HMPAO
パトラックプロット法→動脈採血不要
頭部と大動脈弓部を含む範囲をダイナミック収集
引き続きSPECT収集
ダイナミック像の大動脈弓と大脳にROIを置き
時間放射能曲線から脳血流を求める
<統計的脳機能解析>
SPM
3D-SSP
eZIS
放射性壊変
・α壊変
主として原子番号の大きい元素で起こる。
質量数が4つ、原子番号が2つ減少する。
・β−壊変
中性子過剰核種で起こる。
中性子→陽子に変化。その際に陰電子と反中性微子を放出する
n → p + e- + 反中性微子(反ニュートリノ)
原子番号が1つ増加、質量数は変化しない。
・β+改変
陽子過剰核種で起こる。
p → n + e− + 中性微子(ニュートリノ)
原子番号が1つ減少、質量数は変化しない。
・軌道電子捕獲(EC)
陽子過剰核種で起こる。
軌道電子を捕獲することで、陽子→中性子に変化。
p + e− → n + ν
原子番号が1つ減少、質量数は変化しない。
<ECのポイント>
K軌道電子を捕獲する確率が最も高い。
特性X線またはオージェ電子の放出を伴う。
β+改変する核種の多くはECと競合する
・γ線放射(核異性体転移および内部転換)
核が励起状態にあるとき、余分なエネルギーをγ線として放出する・
励起状態にある時間が比較的長い核種を核異性体と呼び、核異性体が
励起状態にある原子核がγ線を放出する代わりに、エネルギーを軌道電子に与え
軌道電子を原子外へ放出する現象を内部転換(IC)と呼ぶ。
原子番号、質量数は変化しない。
・自発核分裂
ひとりでに核分裂を起こす核種がある。
1つの核が、2つ高エネルギーの核分裂生成物、中性子、β線、γ線などに
分裂する。
<放射性壊変まとめ>
・質量数が現象するもの
→α壊変のみ
・原子番号が変更するもの
増加→β−壊変のみ
減少→β+壊変、軌道電子捕獲
・原子番号が変化しないもの
・壊変に伴って放出されるもの
EC壊変→特性X線、オージェ電子
β+壊変→消滅放射線の放出
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周期表の覚え方
覚え方→Li、Na、K、Rb、Cs、Fr
リッチな かあちゃん ルビー せしめて フランスへ
アルカリ土類金属:BeとMg以外の2族元素をアルカリ土類金属という。
覚え方→Ca、Sr、Ba、Ra、
(便利で曲がる)かるい ストロー バ ラ 売り
ハロゲン:17族元素をハロゲンという。
覚え方→F、Cl、Br、I、At
ふっ くら ブラジャー 愛の あと
遷移元素;周期表の3〜11族の元素で、すべて金属元素である。
天然には原子番号1〜92(ウラン)まで存在する。
原子番号84のPoから92のウランまでの元素は天然放射線核種であり、
安定同位体が存在しない。
原子番号43のTcと61のPmは自然界に天然のものは存在せず、
人工放射線核種である。
原子番号93のNp以上の元素は超ウラン元素と呼ばれ、天然には存在しない
人工放射線核種である。
元素
原子:原子核と軌道電子から構成される。
原子=原子核+軌道電子
原子核:原子の中心にある正の電荷をもった粒子で、陽子と中性子からなる。
原子番号:原子核内の陽子の数。電気的に中性の原子では軌道電子数と等しい。
核種:同位体→原子番号(陽子数)が同じで、質量数(中性子数)が異なるもの。
同重体→質量数が同じで原子番号(陽子数)が異なるもの。
同中性子体→中性子数が同じで原子番号(陽子数)が異なるもの。
核異性体→陽子数と中性子数は等しいが、原子核のエネルギー状態だけが
異なるもの。
同位体存在比→天然に存在する元素の各同位体の原子数を百分率で表したもの。
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明日は放射線技師国家試験ですね
明日は、放射線技師国家試験ですね。
みなさん悔いのないように力を出し切ってください。
今回の国家試験では、問題を作る方が多数入れ替わってるということで、問題が変わるかどうか、去年の合格率が高いので、難しくなるのではないかなど予想はされてますね。
時間があれば、国家試験の解答・解説を作りたいと思っていますが、まだなんとも言えません。
とにかく、現役生の方は3年間4年間の集大成の試験になりますので、いつも通り存分に力を出し切って頑張ってください。
放射化学 用語と単位
放射能:放射性核種が単位時間当たりに壊変する原子数(原子核数)
つまり壊変率のこと。
単位[Bq]or[s-1]
壊変定数:放射線核種が1秒間当たりに壊変する確率を表す定数。
単位[s-1]
壊変定数λと半減期Tとの関係は
λ=loge2/T=0.693/T
無担体状態のとき比放射能は最高値を示し、時間経過とは関係なく
一定となる。
放射能濃度:放射性核種を含む溶液の単位体積当たりの放射能である。
核断面積:核反応が起こる確率を表す定数。
単位[cm2]or[m2]or[b]
照射線量:単位質量空気中にX線もしくはγ線の照射によって作られた
二次電子の飛跡によって生じた正または負の電荷の総量。
単位[C・kg-1]
空気以外の物質には使えない。光子のみに定義されている。
吸収線量:単位質量当たりの物質に吸収された放射線のエネルギーを表す量。
単位[J・kg-1]or[Gy]
等価線量:組織や臓器が受ける吸収線量に放射線加重係数を乗じた線量。
単位[Sv]
実効線量:人体への被曝リスクを相対的に評価する目的で、等価線量に対して
被曝した臓器・組織の感受性および重要度を考慮した組織加重係数を
乗じ、全身について合計した値。
単位[Sv]
私が学生時代にお世話になった本がこちらです。
放射線技師の勉強にオススメの本
私が学生時代にお世話になった本を紹介します。
まずは基本から
診療放射線技師 国家試験問題集
国家試験の過去問といえばこれ!!
私の学校では赤本と呼ばれていました。
診療放射線技師を目指すなら欠かせない1冊と言えるのではないでしょうか?
過去13年分の国家試験問題と簡単な解説が載っています。
次に、大学2〜3年生、専門学校2年生あたりでおすすめの本がこちらです。
診療放射線技師国家試験
完全対策問題集ー精選問題・出題年別ー
こちらは問題数自体は少ないものの、一つ一つの問題にしっかりとした解説が載っているため、とてもわかりやすいです。これからしっかり知識をつけていきたいという方におすすめです。
完全対策問題集のテキストにあたる
診療放射線技師国家試験
合格!Myテキスト
もオススメです。
こちらは問題集というよりは、テキストという形になっており、順を追って勉強していくのに最適です。
また、ここの科目については、良い本があれば紹介していきたいと思います。
放射線治療に関する本でおすすめが
放射線治療 基礎知識図解ノート
こちらは放射線治療の基礎をわかりやすく説明されています。
図や画像などが多く、治療の勉強を始めてすぐの方などには画像で名称を
覚えていけるため、おすすめです。